The Japanese Society for Fall Prevention   (JSFP)

一般社団法人日本転倒予防学会
代表理事挨拶

 


「転倒予防は社会が求める活動です」

 わが国の65歳以上の人口は、2025年現在で3,619万人に達しており、前年と比較して約5万人の減少が見られるものの、総人口に占める割合は29.4%と過去最高を記録しています。これは、世界に先駆けて長寿社会を迎えた日本の姿を象徴する数字であり、私たちがこれまで築いてきた医療・福祉・生活環境の成果でもあります。
 しかしながら、加齢に伴って転倒のリスクが高まることは広く知られており、それに起因する骨折や頭部外傷などの外傷性疾患も増加傾向にあります。実際、介護が必要となる主な要因のうち、骨折・転倒が占める割合は14%にのぼり、転倒は健康寿命を短縮させる大きな要因の一つとなっています。さらに、病院や高齢者施設における転倒は医療安全上の重大な課題であり、労働現場においても高齢労働者の増加に伴い、転倒事故が深刻化しています。現在、労災事故全体の約4分の1が転倒によるものであり、これは産業保健の観点からも看過できない状況です。
 このような社会的背景を受けて、日本転倒予防学会は2004年4月に「転倒予防医学研究会」として発足し、10年間の活動を経て2014年4月に「日本転倒予防学会」として正式に設立されました。以来、私たちは「予防できる転倒」と「予防が困難な転倒」を峻別するという理念のもと、科学的根拠に基づいた転倒予防の研究と実践を推進してまいりました。
 本学会では、これまでに多くのユニークかつ実践的な転倒予防の取り組みを発表してきました。たとえば、身体機能の維持・向上を目的とした運動プログラムの開発、住環境の改善による転倒リスクの低減、さらには転倒後の骨折や頭部外傷を防ぐための衝撃吸収素材やウェアラブルデバイスの研究開発にも積極的に関与してきました。これらの知見は、臨床現場や地域包括ケアの現場で応用され、多くの成果を挙げています。
 今後、わが国ではさらに高齢化が進行し、90歳を超えて一人暮らしをする高齢者が珍しくない時代が到来します。こうした社会において、転倒予防は単なる医療課題にとどまらず、地域づくり、産業振興、国際協力といった多方面に波及する重要なテーマとなるでしょう。
 本学会は、こうした社会のニーズに応えながら、今後も学術的探究と実践的応用の両面から転倒予防の可能性を広げていく所存です。会員の皆様をはじめ、行政、医療、福祉、産業界など多くの関係者の皆様と力を合わせ、健康寿命の延伸と安全・安心な社会の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。
 今後とも、皆様のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

2025年11月吉日

日本転倒予防学会代表理事
萩野 浩

 

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